朝鮮半島北部から、終戦直後に帰国した家族の、その後の日本での生活を描いたもの。 So Far from the Bamboo Groveは、兄との再会で終わるが、本書はその場面を引き継いで始まり、最後は父との再会までを、丹念に綴っている。まさにカワシマファミリーの終戦直後の続編・・・敗戦から戦後の復活までの歴史。 兄、姉、そして作者が粗末な小屋で食うや食わずの生活を送る貧窮生活を描いている。前作を読んでいない人にも状況が理解できるように、随所に朝鮮半島での苦難の記述(So Far from the Bamboo Grove)を挟んでいる。 1945年終戦直後から日本が立ち直るまで(本格的な日本の飛躍は高度経済成長期の入り口から始まるが:佐藤栄作内閣あたり・・)1950年前半までの、5年あまりの日本が、どんな状況であったのか?朝鮮戦争で経済復興できた日本が、庶民のレベルでは、どうだったのか? それをまったく知らない世代が読めば、ここに書かれた日常些末な貧窮のありさまが、なまじ想像すらできないと思う。